時平「はい、お前の人生は終わり。お疲れさまでした」
道真「うぅ……あ、ありがとうございました……」
二年前、念願の右大臣に就任したのだが、『道真は自分の娘婿を天皇にしようと謀反を企てているのではないか』
という藤原の声があり、結果、天皇が道真を太宰権帥に任命することになった。時平ちゃんはなんだか道真のことがキライみたいで、いつもいつも不愛想に讒言して、太宰府にサセンサセンなのだった。
深夜なのに道真の両目から涙が漏れている。
道真(ち、時平ちゃんが、自分の部屋で政権の掌握をしている!?)
時平「ふぅ……こんなものですかね……。もっと藤原家が栄えるように頑張らないと……」
ワイ「時平ちゃーん!」 バターンッ!
チノ「ひゃあッ!?」
道真「チ、時平ちゃーん! ごめんよーッ! 時平ちゃんは毎日ワイのために讒言の証拠のでっち上げしてたのにワイは観音寺の音色をただ聞くばかり……ッ!
ハフッ!ハフッ! 宇多天皇から賜った御衣いい匂い!」
チノって誰や?
ワイ「ご、ごめんね時平ちゃん……!」
時平「べ、別に、讒言のでっち上げするくらい普通です……。藤原家の政敵排除なんですから……。それに、私は無能で、あんまり帝に信任してもらえないから」
道真「そ、そんなことないよ! 時平ちゃんのその讒言だけでワイは十分左遷されるんだよ! あっ、そ、そうだ! 時平ちゃん清涼殿にいて!
時平「こ、こうですか?」
道真「そう! それじゃあ今から殺すからね! 時平ちゃんのいるやわらか清涼殿に雷ドッピュするからね! ちゃんと受け止めてね!」
時平「えっ、えっ?」
ワイ「ウオーッ! 時平! ぷにぷに清涼殿に招雷するぞ!」ドピュドピュドピューッ!
時平「ひゃあッ!」ビシャーッ
祟り草
ほのぼのとしたやりとりなのに殺意に溢れてて草
時平「ほんとうです……で、でもなんで……?」
道真「それはね……ワイの怨みが、都まで伝わったからだよ! 時平ちゃんの他人を追いやる心の狭さにね!」
時平「私の心の狭さ……」
大宅世継「そう! だから、血統なんて、二の次なんだよ! 政治は、高貴な血筋の人にやってもらうより、有能な人にやってもらうのが一番気持ちいいんだよ!」
道真「ゆ、有能って……はわわ……あ、あの……もうちょっとだけ、呪殺に付き合ってもらってもいいですか?」
大宅世継「もちろん!」
その後、ワイは一晩中清涼殿に落雷を続けて次の日の朝は成仏ないほど疲弊していた。
でもまぁ、その日以来、各地に天満宮が建てられて「学問の神様」として祀ってくれるようになったので結果オーライ! 終わり