イギリス史好きなワイの独断と偏見で選んだで
1(捕) トニー・ブレア
2(左) ウィリアム・ピット(小)
3(三) パーマストン子爵(ヘンリー・ジョン・テンプル)
4(遊) ベンジャミン・ディズレーリ
5(二) ウィリアム・グラッドストン
6(一) ウィンストン・チャーチル
7(右) ソールズベリー侯(ロバート・ガスコンイ=セシル)
8(中) ロバート・ピール
9(投) マーガレット・サッチャー
すまんの
チャーチルはワイも心情的には上位に入れたかったんやが、
良く良く見てると結構微妙なところもあるなあと思って下位打線にしてもうた
それだけ他の首相が好きやったっていうのもある
イギリス版パットンみたいな
そうなんよな
戦時のチャーチルは格好良いんやけど戦後がどうもパッとせんのよ
じゃ、解説するで
1(捕) トニー・ブレア
労働党でありながら保守党的な政策も盛り込んだ「第三の道」路線の政治家としてイギリスを盛り立てた英雄
サッチャリズム的な経済政策を踏襲することで英国病の再発を防ぐ一方で、
スコットランド議会の成立や貴族院改革や最高裁判所の分立など「リベラル」的改革も実行してるのがすごい
ベルファスト合意で泥沼の北アイルランド紛争をようやく終わらせた功績も大きい
最近のイギリス首相の中では、教科書に後世載りそうなレガシーを一番多く残してる首相やろな
末期はイラク戦争への協力で叩かれてるけどワイは彼の対米協調路線もむしろ高く評価してる
イラク戦争への協力や対テロ戦争の強化によって、イギリスはアメリカとの絆を強めて西側陣営の一角としての国際的プレゼンスを高めたからな
確かにセンターと迷ったんよな
サッチャーとバッテリー組ませたかったから扇の要に無理やりしてもうたけど
最近の労働党内では人気なくなっちゃったよなあ >ブレア
ワイは好きなやのに悲しいなあ
まあ労働党支持者からしたら獅子身中の虫やし
でも、ブレアのその路線がなかったら労働党が政権なんかとれんかったと思うんやけどなあ
現にブレアの後の労働党は全然政権とれていないし
労働党は鉄板の地盤やったスコットランドをスコットランド民族党(民族主義的左派)に食い荒らされたのが痛い
せやなあ
スコットランド出身のブレアが政権とれたのもスコットランド票で成立した面はあるからなあ
それがスコットランド民族主義政党に票を奪われちゃったのは痛いな
2(左) ウィリアム・ピット(小)
同じ名前で大ピットっていうのもいるけどワイが選んだのは小ピットのほうや
アメリカ独立戦争でボロボロになったイギリスを立て直した英雄や
自由貿易に傾倒し奴隷貿易の廃止を目指すなど、のちのヴィクトリア朝の大英帝国の発展に繋がる基本理念の萌芽にもなっとる
さらにピットはアイルランドを連合王国に組み入れ、さらにはアイルランドのカトリック開放も将来的には目指したんや(国王の反対で叶わなかったけど)
そして、彼の功績で一番でかいのはやっぱりナポレオンとの対決やな
ヨーロッパ諸国がナポレオンにやられまくってる中、ピットは最後までナポレオンと戦ったんや
まさに戦時のカリスマ指導者としてイギリスの栄光を盛り立てるカリスマを担ったわけで、のちのチャーチルなんかに通じるところがある
3(三) パーマストン子爵(ヘンリー・ジョン・テンプル)
日本だとマイナーかも。イギリスの自由党をとりまとめ大英帝国の拡大を担った19世紀の大御所政治家や
首相在任前から外相としてアヘン戦争を推し進めたり東方問題に介入したりと、かなり積極的な外交政策を進めてたし
その方針は首相就任後も続き、クリミア戦争やアロー戦争やインド大反乱などでイギリスを勝利に導き大英帝国の拡大に貢献したんや
強引な外交政策のせいでヴィクトリア女王からは嫌われとったらしいけど、
彼のその外交がなければ大英帝国の繁栄はなかったわけでその功績は計り知れないやろなあ
奴隷貿易を廃止し自由貿易を推し進めるという第二次大英帝国の基本理念は彼が掲げたんやで
そういう意味でも大英帝国の発展の礎となった政治家やと言えるな
4(遊) ベンジャミン・ディズレーリ
ユダヤ人の作家から首相にまで出世した政治家としても有名やな。でも、彼の功績はそれだけやない
パーマストンと同じく大英帝国の拡大に貢献したその巧みな帝国主義外交をワイは評価したい
英領インド帝国の成立、スエズ運河の買収などによってイギリスの帝国主義的拡大を強固にしてる
この2つの外交政策はヴィクトリア女王からも気に入られて、彼は女王お気に入りの政治家となったんや
他にも、東方問題についてのベルリン会議参加でロシアの南下政策を見事抑え込むなど、その強かな外交政策が素晴らしい
保守党にもかかわらず内政面では意外とリベラル的な政策を実行した点も彼の巧みな政治手腕をうかがえるな
後述するライバルのグラッドストンと並んで、輝かしい大英帝国の最盛期を彩る政治家の一人や
5(二) ウィリアム・グラッドストン
ディズレーリのライバルとして知られた自由党の大御所政治家やな
当時4回も首相を務めるぐらい選挙に強かった政治家なんや
選挙法改正で選挙権を労働者にまで拡大した彼は、現代的な選挙戦略(地方遊説しての演説とかそういうの)を展開し、
まさに現代のイギリスの大衆民主主義の先駆者となった人なんやで
外交ではディズレーリとは対照的にグラッドストンは帝国主義外交をあまり好いてなかったから、
スーダンでのマフディーの反乱で弱腰外交を展開し国民や女王から非難されるという失点もあったが、
内政では義務教育や秘密投票を導入するなど、自由党らしい政策をちゃんと実行している功績もある
彼は自由貿易などの自由放任主義を強く信じる古典的自由主義者として思想的尊敬を集める人物でもあったんですよね
晩年はアイルランド自治問題が結局上手くいかなかったことで意気消沈してたけど、
そういうところも含めて人間味のある愛せる政治家やな。亡くなった時に国民から大いに悲しまれたのも納得や
6(一) ウィンストン・チャーチル
やっぱり第二次世界大戦においてそのカリスマでイギリスを率いた「戦時の指導者」としての評価は動かしがたい
もちろん、第二次世界大戦に勝っても結局は大英帝国の衰退を止められなかったという点で結果が伴っていないとは思うが、
それでもイギリス国民に対して最後まで「栄光ある大英帝国の夢」を見させてくれた点がワイは好きやなあ
容共的なフランクリン・ルーズヴェルトと違って、ナチスだけでなくソ連もしっかり脅威として見ていた点も偉いと思う
まあこれも結局はルーズヴェルトの意向で第二戦線問題は譲歩する羽目になってるから、ちゃんとした成果としては結実してないんやけどね
伝統的な自由放任主義を信奉して社会主義を退け、植民地帝国としての大英帝国の維持を最後まで守ろうとした理想の高さは素晴らしい
その理想の高さが結果に結びついてない点だけは残念やけどなあ。結局、植民地の離反も防げなかったからのう
でも、もはやイギリスの衰退は時代の流れだったから、チャーチルじゃなくてもその衰退は防げなかったと思うし、
むしろ決定的に衰退する前の最後の大英帝国の輝きの象徴として、ワイは彼を改めて再評価したい
むしろ大英帝国滅ぼした大戦犯だろ
>>29
大英帝国を滅ぼした戦犯はチャーチルよりその後のクレメント・アトリーやと思うで
インドを始めとする植民地の独立をたくさん許しちゃった挙句に、
「ゆりかごから墓場まで」の社会主義政策で「英国病」の原因まで引き起こしたわけやからなあ
むしろチャーチルは二回目の組閣時にそのアトリー路線を改められなかったという点がワイ的には残念なポイントだと思ってる
アトリーによって崩壊に向かった大英帝国の衰退を食い止められなかったという点でチャーチルは下位打線になっちゃうな
最近の研究で英国病はありませんでした説が有力になってる
だからその反論はお門違いだしそれに連鎖してサッチャーの評価点の大部分が消える
英国病はありませんでした説が左派の間で最近出てきたのは知っとるけど、
20世紀後半のイギリス経済の衰退は実際確かに起きてたし、
依然として「英国病」説を唱える意見も根強く残ってるで
この論争はイギリスにおける左派と右派の政治論争にまでつながっとるな
ワイは色々読んだ結果一応今回は伝統的な英国病衰退説を採用するで
評価してる奴いいとこしか見てないやろ
ワイはむしろみんなが悪いところ言う部分も含めてチャーチルとサッチャー好きやで
一部界隈の人が彼らを嫌う理由は分かるけどな。だからこそ、そこも含めて偉大やと思っとるで
その映画はワイも見たわ
チャーチルの人間的魅力が良く描けた映画やと思ったで
7(右) ソールズベリー侯(ロバート・ガスコンイ=セシル)
今回のメンツの中だと一番マイナーかも。実は、シャーロック・ホームズの時代の首相なんやで。
伝統的な貴族出身の彼は大衆民主主義を嫌い旧来の徳ある貴族たちによる政治を信じ続けた保守党の偉大な政治家なんや
しかも、ディズレーリ路線を継承して大英帝国の帝国主義的拡大に大いに貢献してる点もすごい
グラッドストンの弱腰外交のせいで影響力の下がったスーダンを奪還したり、
当時の列強のアフリカ分割にも乗り遅れずにしっかり参加して南アフリカ会社などのもとでアフリカ進出を進めたり、
中国分割に参加してロシアの脅威に対抗するために日英同盟を締結したりと、
大英帝国の植民地の拡大を大きく進めた政治家として、地味だけどその功績は計り知れないんや
末期は南アフリカ戦争(ボーア戦争)のせいで国際的に非難を浴びたこともあったんやけど、
そんな非難をものともせずにちゃんと戦争を勝利に導き、南アフリカにまで植民地を拡大させたのもすごいと思う
8(中) ロバート・ピール
これも少しマイナーかもな。パーマストンと並んで「自由貿易」帝国としての大英帝国の先駆者となった首相や
保守党の政治家にも関わらず、穀物法を始めとする各種関税を廃止し自由貿易を推し進めたことでピール派っちゅう派閥を形成し、
大英帝国の伝統的理念である「自由放任主義」の礎となった人なんや
アヘン戦争の講和条約である南京条約を結んで、中国にまで自由貿易を拡大させた政治家でもあるんや
ちょっと地味ではあるけど、パーマストンと同じく「自由貿易帝国主義」の政治家としてその功績は高く評価したいで
防いだっていうより時間稼ぎをしたってとこやろ
チェコ・スロバキアを犠牲にして自国の防空体制を大急ぎで整備した
大戦を防げてないからやで……(マジレス)
9(投) マーガレット・サッチャー
「鉄の女」の異名で知られる、衰退したイギリスを立て直した戦後の偉大な首相やな
「ゆりかごから墓場まで」的な高福祉による社会主義政策で「英国病」と揶揄されるほど衰退した当時のイギリス経済を、
イギリスの伝統的な「自由放任主義」の再来である「サッチャリズム」と呼ばれる新自由主義政策で立て直したんや
その功績だけでも偉大すぎて凄まじいのに、さらに彼女は外交面や文化面でも「大英帝国の威信」を取り戻してくれたんや
フォークランド紛争では弱腰外交の政治家たちを一蹴して、大英帝国の誇りと領土を守るため強硬な外交姿勢を堅持し、
その結果として見事にアルゼンチンからの領土防衛に成功したんや
まさに「かつての栄えある大英帝国の再興」とも言うべき頼もしさや。「鉄の女」と呼ばれるだけのことはある
文化面でもサッチャーは当時のイギリス国内の教育界に蔓延っていた自虐史観を一掃して、
大英帝国の「負の面」ではなく「功績」の部分も教えるようにしたことで、イギリス国民に再び誇りを取り戻させたんや
衰退し自信をなくしたイギリス国民に再び大英帝国の夢を見させたという点ではチャーチルにも通じるところがあるが、
チャーチルと違ってちゃんと結果も残してるのでその偉大さはチャーチル以上かも知れん
サッチャー評価論って絶対インフラ民営化には触れないよな
インフラ民営化ええやんけ。ワイはそこも含めて好きやで
むしろアトリー時代に産業の国有化を進めすぎたのがイギリス経済の汚点やからな
サッチャーはそんな社会主義路線を改めて伝統的なイギリスの自由放任主義経済を復活させてくれた英雄やな
外国企業に水道や電気が握られたのに?
しかも水道料金は結局値上がりするというクソっぷり
ホンマはもっとはよ値上げすべきやったのを政治家が先延ばしにしてだけや
外国企業やから悪という発想は左派ナショナリズムっぽくてワイはあまり好きやないなあ
値上がりはまあ仕方ないというか、むしろ今までが相場にそぐわないほど安くしてて政府財政や経済を圧迫してた証でもある
そこが是正されたんなら良いことやろ
安全保障上非常にマズイ
安全保障は外国企業を締め出したから安心ってもんでもないやろ
そこはまた別方面での政策次第や
国内企業だったら絶対安全ってわけでもないし、それよりも国防上の監視や制限をどれだけ敷くか次第やな
民営化が大失敗だったのは疑いようもないやろ
民営化したら即座に破産するような経営をサッチャー以前のイギリス政府がしてたせいとも言える
破綻したのは2002年
どうしようもないほど破産したのがその年ってだけで、実質的なガタはもっと前から出とったやろ
2000年まではちゃんと利益出してる
2001年以降急激に悪化して死んだ
そうなんか?でもそれだったら結局サッチャーのせいじゃないんやないの?
2000年ってことはサッチャーじゃなくてブレア政権期やし
民営化したのはサッチャーだからサッチャーの責任やろ
鉄道はサッチャーの次やから無罪やけど
むしろサッチャリズム的には民営化してつぶれるような企業がつぶれるのは構わへんって考えやろ
それこそが市場競争の自浄作用やと思ってるで
むしろブレアが無理に救済しようとした方が問題
インフラであることにかまけてちゃんと経営できなかったところがつぶれたのがそんな悪いことやと思わん
イギリスの1/5の電力を供給してたうえに原発8つ持ってたから安易に潰したらそれこそヤバイ
むしろそういう「安易に潰したらやばい」というTBTF論が、そういうやつらの放漫経営を許すはめになったんやと思うけどな
だから、ごまかしがきかなくなって最終的につぶれたんやろし
じゃあ、サッチャーじゃなくてブレアが戦犯やったってことやな
ブレアはワイも好きなんやけど、こういうところはやっぱり労働党政権っぽいんやなあ
そもそも安易な「民営化=悪」論自体が共産党とかそっち系の左派の言い分って感じはするわな
日本でも、多くの国民から支持された国鉄民営化をいまだに叩いてるのは左寄りの人たちだし
完全な間違いとまでは言わへんけど、多少は割り引いて考える必要はあるやろ
まあワイも全ての民営化が正しかったとまでは言わんけど、
民営化ってだけで思考停止気味に悪魔化するのはヤバい思想やろ
サッチャーは事実として大量の失業者出してるやん
支持されてたのは戦争で勝利したからで経済面はダメダメやろ
失業率や格差(ジニ係数)は確かに上がったが、
だからこそサッチャーも末期にはリフレ派を採用するなどのバランス感を見せて、
結果的に1990年代からはイギリス経済は回復しとるのも事実やで
経済はすぐに効果が出るわけやないし全体としての好況と引き換えに、
経済格差や貧困層の失業が犠牲になった形やな
どっちをとるかはまあ好みやろうけど、ワイはわりとその点も含めて好きやで
イッチは格差広がっても数字上の経済が回復してれば良い派なんやな
もちろん程度にもよるけど格差よりも経済成長のほうが大事やとワイは思っとるで
あまりにも貧困層が増えすぎると治安も悪くなるから程度問題ではあるけどな
サッチャーは大英帝国全体の経済の復活と戦争による領土維持という「大きな物語」を夢見させるタイプの政治家やな
ブラウンはしょっぱかったなあと思うが、ブレアの支持率低下の尻拭いをさせられただけとも言えるから同情の余地はあるかもしれん
イギリスの議院内閣制の歴史は古くてびっくりするよな
初代首相のウォルポールが300年前になるってのは確かに驚きや