【正史三国志】劉備伝の全文訳と解説をするで（定軍山の戦い～夷陵の戦い）

先主引兵五萬、下公安、令關羽入益陽。

先主は兵五万を引き連れ、公安に下り、関羽を益陽に入らせた。

是?、曹公定漢中、張魯遁走巴西。先主聞之、與權連和。

この年、曹公は漢中を定め、張魯は巴西に遁走した。先主はこれを聞き、孫権と和睦した。

分荊州、江夏長沙桂陽、東屬。南郡零陵武陵、西屬。引軍、還江州。

荊州を分け、江夏長沙桂陽を、東に属させた。南郡零陵武陵を、西に属させた。軍を引き連れ、江州に帰った。

遣?權將兵、迎張魯。張魯已降曹公。曹公使夏侯淵張?、屯漢中、數數犯暴巴界。

黄権を遣わし兵を率いさせ、張魯を迎えた。張魯はすでに曹公に降伏していた。曹公は夏侯淵・張?を遣わし、漢中に駐屯させ、何度も巴の境を侵させた。

先主令張飛、進兵宕渠、與?等戰於瓦口、破?等。收兵、還南鄭。先主亦還成都。

先主は張飛に、兵を宕渠に進ませ、張?らと瓦口で戦わせ、張?らを破った。兵を収め、南鄭に帰った。先主もまた成都に帰った。

二十三年、先主率諸將、進兵漢中。分遣將軍?蘭、雷銅等、入武都。

建安二十三年（218年）、先主は諸将を率い、兵をコウ漢中に進めた。将軍呉蘭、雷銅らを分けて遣わし、武都に入れた。

皆爲曹公軍、所沒。先主、次于陽平關、與淵?等相拒。

皆曹公の軍に、殺された。先主は、陽平関に拠り、夏侯淵・張コウらと対峙した。

二十四年春、自陽平南渡?水、?山稍前、於定軍山勢作營。

建安二十四年春（219年）、陽平から南に行き?水を渡り、山沿いを漸進し、定軍山に陣営を作った。

淵、將兵來、爭其地。先主命?忠、乘高鼓譟、攻之、大破淵軍。斬淵及曹公所署益州刺史趙?等。

夏侯淵が、兵を率いて来て、その地を争った。先主は黄忠に命じ、黄初に登らせ太鼓を騒がせ、これを攻めさせ、夏侯淵軍を大破した。夏侯淵及び曹公が任命した益州刺史趙?らを斬った。

曹公、自長安、舉衆南征。先主、遙策之、曰「曹公雖來、無能爲也。我必有漢川矣」

曹公は、長安から、衆を挙げて南征した。先主は、遥かにこれを策し、「曹公が来たといえども、何も出来まい。私は必ず漢川を有してみせよう」

及曹公至、先主斂衆拒險、終不交鋒。積月不拔、亡者日多。

曹公が到ると、先主は衆を治めて険阻で拒み、終いまで鋒を交えなかった。一月しても抜けず、亡くなる者は日に日に多くなった。

夏、曹公果引軍還、先主遂有漢中。遣劉封、孟達、李平等、攻申耽於上庸。

夏、曹公は果たして軍を引き連れて帰り、先主は遂に漢中を有した。劉封、孟達、李平らを遣わし、申耽を上庸において攻めた。

遂於?陽設壇場、陳兵列衆、羣臣陪位。讀奏訖、御王冠於先主。

?陽に壇場を設け、兵を並べ衆を列し、群臣は陪席した。上奏を読み終えると、先主に王冠を載せた。

因驛、上還所假左將軍、宜城亭侯印綬。於是還、治成都。拔魏延、爲都督、鎭漢中。

駅舎で、左将軍、宜城亭侯の印綬を返還した。こうして帰り、成都を治めた。魏延を抜擢し、都督とし、漢中を鎮めさせた。

時、關羽攻曹公將曹仁、禽于禁於樊。俄而孫權、襲殺羽、取荊州。

この時、関羽は曹公の将曹仁を攻め、于禁を樊で捕らえた。にわかに孫権が、関羽を襲って殺し、荊州を取った。

二十五年魏文帝稱尊號、改年曰?初。或傳聞漢帝見害、先主乃發喪制服、追諡曰孝愍皇帝。

建安二十五年（220年）魏文帝は尊号を称し、黄初に改元した。ある者が漢帝が害に遭ったと伝えたため、先主はこうして喪を発し喪服を着、追諡して孝愍皇帝といった。

多くの瑞祥が現れ、群臣が先主に上奏して帝位に就くよう要請
先主は帝位に就き天地に報告
長いので省略

重要なのは群臣の推挙という皇帝即位に必須なことがここで明記されているということ
陳寿が季漢（蜀）を正当と考えていたことの裏付けとなる

章武元年夏四月、大赦、改年。以諸葛亮爲丞相、許靖爲司徒。置百官、立宗廟、?祭高皇帝以下。

章武元年（221年）夏四月、大赦し、年号を改めた。諸葛亮を丞相とし、許靖を司徒とした。百官を置き、宗廟を立て、高皇帝以下を合わせて祭った。

五月立皇后?氏、子禪爲皇太子。六月以子永爲魯王、理爲梁王。車騎將軍張飛、爲其左右所害。

五月、皇后呉氏を立て、子劉禅を皇太子とした。六月、子劉永を魯王とし、劉理を梁王とした。車騎将軍張飛は、周りの者に害された。

初、先主忿孫權之襲關羽、將東征、秋七月遂帥諸軍伐?。孫權遣書請和、先主盛怒不許。

初め、先主は孫権が関羽を襲ったことを怒り、東征しようとし、秋七月遂に諸軍を率いて呉を討伐した。孫権は書を遣わして和を請うたが、先主は盛んに怒って許さなかった。

?將陸議、李異、劉阿等、屯巫?歸。將軍?班馮習、自巫攻破異等。軍、次?歸。武陵五谿蠻夷、遣使、請兵。

呉將陸議（陸遜）、李異、劉阿らは、巫・?帰に駐屯した。将軍呉班・馮習は、巫から攻め李異らを破った。軍は、?帰に駐屯した。武陵・五渓の蛮夷は、使者を遣わし、兵を請うた。

二年春正月、先主軍還?歸。將軍?班、陳式水軍屯夷陵、夾江東西岸。

章武二年（221年）春正月、先主の軍は?帰に帰った。将軍呉班、陳式の水軍が夷陵に駐屯し、江東の西岸を挟撃した。

二月先主自?歸、率諸將進軍、?山截嶺、於夷道?亭、駐營。

二月、先主は?帰から、諸将を引き連れて進軍し、山に沿い嶺を断ち、夷道の?亭に、駐屯した。

自?山通武陵、遣侍中馬良、安慰五谿蠻夷、咸相率響應。鎭北將軍?權、督江北諸軍、與?軍相拒於夷陵道。

?山から武陵を通り、侍中馬良を遣わし、五渓の蛮夷を慰撫し、皆兵を率いて応じた。鎮北将軍黄権は、江北の諸軍を督し、呉軍と夷陵道で互いを拒んだ。

先に言うけど、
この戦いで魏の出負けが劉備の布陣バカにしてるけど
事実誤認に基づく全く見当違いな発言で
劉備の戦術はマトモやで

※「魏の出負け」＝曹丕

夏六月?氣見自?歸十餘里中、廣數十丈。後十餘日、陸議大破先主軍於?亭、將軍馮習、張南等皆沒。

夏六月黄気が?帰から十余里見え、広さ数十丈であった。十余日後、陸議は先主の軍を?亭で大破し、将軍馮習、張南らは皆死んだ。

先主、自?亭還?歸、收合離散兵、遂棄船舫、由?道還魚復。改魚復縣、曰永安。

先主は、?亭から?帰に帰り、離散した兵を集め、遂に船を棄て、陸路で魚復に帰った。魚復県を改め、永安とした。

?遣將軍李異劉阿等、踵躡先主軍、屯駐南山。

呉は将軍李異・劉阿らを遣わし、先主の軍を追撃させ、南山に駐屯させた。

秋八月、收兵還巫。司徒許靖卒。冬十月詔丞相亮、營南北郊於成都。

秋八月、兵を収めて巫に帰った。司徒許靖が亡くなった。冬十月詔して丞相諸葛亮に、成都で南北の郊を造営させた。

孫權、聞先主住白帝、甚懼、遣使請和。先主許之、遣太中大夫宗?、報命。

孫権は、先主が白帝に留まったと聞き、甚だ恐れ、使者を遣わして和を請うた。先主はこれを許し、太中大夫宗?を遣わして、返答した。

冬十二月漢嘉太守?元、聞先主疾不豫、舉兵拒守。

冬十二月漢嘉太守黄元は、先主が病で不予だと聞き、兵を挙げ拒み守った。

三年春二月丞相亮、自成都到永安。三月?元、進兵、攻臨?縣。遣將軍陳?、討元。

章武三年の春二月、丞相諸葛亮は、成都から永安に到った。三月、黄元は、兵を進め、臨?県を攻めた。将軍陳?を遣わし、黄元を討った。

元軍敗、順流下江、爲其親兵所縛、生致成都、斬之。

黄元の軍は敗れ、流れに順じて長江を下ると、その側近の兵に捕縛され、生きたまま成都に送られたため、これを斬った。

先主病篤、託孤於丞相亮、尚書令李嚴爲副。夏四月癸巳、先主?于永安宮、時年六十三。

先主は病で危篤となり、子を丞相諸葛亮に託し、尚書令李厳を輔佐とした。夏四月の癸巳、先主は永安宮で崩御し、時に年は六十三であった。

五月、梓宮自永安還成都。諡曰、昭烈皇帝。秋八月、葬惠陵。

五月、棺が永安から成都に戻った。諡し、昭烈皇帝といった。秋八月、恵陵に埋葬された。

評曰。先主之、弘毅寬厚、知人待士、蓋有高祖之風、英雄之器焉。

評に曰わく。先主は、度量が広く意志が強く寛容で、人を知り士を待遇し、けだし高祖の風、英雄の器があった。

及其舉國託孤於諸葛亮而心神無貳、誠君臣之至公、古今之盛軌也。

その国を挙げて子を諸葛亮に託し心に疑念がなかったのは、誠に君臣の在り方の到達点で、古今の規範である。

機權幹略、不逮魏武、是以基宇亦狹。然、折而不撓、終不爲下者。

機略権謀は魏の武帝に及ばず、そのため領土もまた狭かった。しかれども、敗れて屈さず、終いには人の下にいなかった。

抑揆彼之量必不容己、非唯競利、且以避害云爾。

つまるところ彼の度量では自分を受け入れられないと考えたためであり、ただ利を競ったのではなく、害を避けようとしたのである。

「あれ…兄弟がいる」
「兄者、魏への進行だ、早く行こう」「か・・・関羽？」
「なんだ兄貴、居眠りでもしてたのか？」「ち・・・張飛？」
「なんだ関中王、かってに俺を引退させやがって」「馬超・・・」

これやな